まえおき
筆者が普段使いしている2サイクルのジャイロX(三輪スクーター)は、暖かい日は特にエンジンの調子も良く、アクセルグリップのレスポンスも楽しくてしょうがありません。
2ストというのはガソリンのみではなく、別途オイルの添加が必要なエンジンの事です。2ストには、乗った事のある人しかわからない面白さがあります。
筆者はジャイロXの購入時からずっと『実際はどのオイルが一番良いオイルなんだろう?』と、オイル選びに悩んでいましたが、結局のところ、5年間ずっとPOWER1 RACING 2Tのみを使い続け、ようやく最良・最強のオイルだと言い切れるようになれました。当記事では2サイクルエンジンの魅力を伝えるとともに、なぜPOWER1 RACING 2Tが良いのか?を綴ります。
\結局・結論/
2サイクル用エンジンオイルとは?
そもそも2サイクルエンジンとは?
人力から始まり、馬力、蒸気機関を経て、爆発力あふれる2ストロークエンジン、洗練された4ストロークエンジン、そして静粛性と環境性能を備えた電気モーターへと進化を遂げ、現代のモーターサイクルへと歴史が紡がれています。
電気モーター化が進む現代だからこそ、歴史的な価値のある2サイクルエンジンを大切に使用したいところです。
2サイクルエンジンは、シンプルで軽量ながらパワフルなエンジンで、スポーツバイクやスクーターなどに多く採用されていました。
しかし、2サイクルエンジンは燃料とオイルを混合して燃焼させるため、オイルを燃焼させない4サイクルエンジンと比べると排気煙が多くなりやすく、有害な堆積物がエンジン内部に付着する事が指摘され、2006年にユーロ2規制(欧州の自動車排出ガス規格)と呼ばれる厳しい排ガス規制が施行され、2サイクルエンジン搭載車の販売が事実上不可能となりました。
2サイクルエンジンから白煙が出る理由はというと、オイルの不完全燃焼や、オイルの質が悪い事が原因だったり、マフラー詰まりが原因の場合もあります。
2サイクルエンジンのエンジンオイルには排気煙を制御して堆積物を減らすことが求められています。その結果、スモークレスオイルなども開発され、現代では白煙をまき散らすような改造をしていない限りは、そこまで白煙に悩まされる事はありません。
\触媒レスの純正タイプ/
2サイクル用エンジンオイルの役割と特徴
2サイクルエンジンは、ガソリンとオイルを混合して燃焼させることで動力を得ますが、オイルは燃料としても潤滑剤としても働く2wayとなっています。
2サイクル用エンジンオイルの役割
- 燃焼効率を高める
- エンジン内部の摩擦を減らす
- エンジンの冷却を助ける
2サイクル用エンジンオイルの特徴
- 燃焼性が高い
- 潤滑性が高い
- 酸化安定性が高い
- 低温流動性が高い
- 白煙が出やすい
2サイクル用エンジンオイルは適切に使用しましょう
2サイクル用エンジンオイルは、エンジンの種類や使用条件によって、適切な粘度や規格を選び、適切に使用する事でエンジンの性能や寿命を保つことができます。
白煙が出てしまったら?
白煙が出てしまう理由は様々です。
例えば、マフラー(チャンバー)の劣化や、2サイクルエンジンオイルの劣化または、そもそもが環境に対する質が悪いオイルであることなどです。あくまでも環境に対する室であって、エンジンへの性能自体は高い事もありますが、白煙が多い=オイル量が多い=エンジンへの負荷が高いとも言えます。つまり、パワーをあげると言うのは、それだけダメージが多いのだと考えるのが妥当です。
白煙が多すぎると感じたら、10~15分程アイドリングをし、低速・中速・高速・全開と、回転数を意識をしながらエンジンを回す事で、不完全燃焼による汚れ(蓄積物)が燃焼して排出され、白煙が薄まる可能性がありますので、試してみてください。
また、オイルのグレードや性能によっては白煙が多く出てしまうものもありますので、オイルを交換する事で白煙が出なくなる事もあります。
FB・FC・FDなどのオイルのグレードについて
2サイクル用のオイルには、いくつかのグレードがあります。
日本のJASO規格でFB級、FC級、FD級の3つに分けられていますが、これらのグレードは、主に排気煙の多寡(多いか少ないか)や環境性能を示しています。
- FA:現在は使用されていません。
- FB:最低限の規準を満たしたオイル。
- FC:FBよりも排気煙や排気系閉塞性に優れたスモークレスタイプ(無煙ではない)
- FD:FCよりもさらに清浄性を高め環境に配慮されたオイル(カーボンがつきにくい)
これらは環境に配慮している物が上級グレードとされているにすぎず、エンジン性能を引き出すようなグレードの違いではありません。先ほども記述しましたが、環境に対する質の良し悪しがベースとなっています。
しかし、本来の【焼き付き・抱き着きを防ぐ】と言う点では、カーボンがつきにくい機能を持ったFDオイルの方が高性能なオイルとも言えます。
とは言え、単純にFDだから良いと言うわけではないし、潤滑性能や耐摩耗性などのエンジン保護の性能そのものを示すものではありませんので、FDグレードのオイルが必ずしもエンジンに良いというわけではないのです。
FBだろうとFDだろうと、よほどの粗悪品でない限りは、そもそものオイルそのものの役割として、潤滑性能や耐摩耗性などのエンジン保護の性能は全てに備わっています。
では、どうやって2サイクル用のオイルを選ぶべきでしょうか?
答えは簡単で、エンジンメーカーが推奨するオイルであれば間違いありません。
しかし、それはあくまでも純正のまま乗っている場合に限ります。
※2stジャイロの純正オイルはHONDA ULTRA SUPER FINE (FC)です※
あるいは、オイルメーカーの能書きや値段を信じることも一つの方法で、高級であればあるほど、高級である理由があるとも考えられます。
しかし、最終的な判断をするためには実際に使ってみないと分からないということも覚えておきましょう。
オイルは爆発的にスピードやパワーを増すというようなものではありませんが、燃焼効率を高めるといった性能を秘めているオイルも存在しています。燃焼効率を高めるとは、すなわちエンジンの性能を高めると言うことに直結します。
しかし、そういうオイルは総じて高く、なかなか手に入れずらいので、ホームセンターでも売っている程度に入手難易度が低く、それでいて比較的安価なCastrol POWER1 RACING 2Tを、筆者は使用しています。
Castrol POWER1 RACING 2Tについて
カストロール社では、同社の販売する2サイクルエンジンオイルの中でも特に高性能なものを「POWER1 RACING 2T」として販売しています。
”高性能”である根拠としては、このオイルは”JASO(日本自動車技術規格)”のFD規格に適合、あるいは、それを上回る性能を持ち、高回転・高負荷下でもエンジンをしっかりと保護しながらも排気煙の発生を抑えることで、環境にも配慮していると認められたことから高性能と言っていますが、まぁ実際のところ、ほぼ全てのFD規格のオイルにそのような事が記載されていますので、それは表向きの能書きでしょう。
「POWER1 RACING 2T」は、エンジンを過酷に使用するレース向けに製作されており、2サイクルエンジンのパフォーマンスを最大限に引き出すオイルでありながら、分離給油と混合給油のどちらにも対応しています。主に、レース向けの高性能オイルは混合給油専用として作られており、ガソリンとオイルの比率をしっかりと計測しなければなりませんので、これは楽で良いです。
そう、まさに注目したいのはレース向けという点です。
レーシング用の2サイクルオイルは、エンジンを極限までパワーアップさせるために開発されたオイルの頂点ともいえます。
街乗りでは必要がない程の驚異的な潤滑性能と保護性能で、エンジンのポテンシャルを最大限に引き出す必要がありますが、現実としては、エンジンやその他のセッティングを充分に行っているからこそなので、街乗りにはオーバースペックかもしれません。
かもしれない というのは、つまり、その人の乗り方や地域的環境、例えば、農道を走るのか国道を走るのかなどで、原付だから常時30km未満で走っているって場合は不要ですが、改造をしていて一般車両と走れるよと言う場合は必要になってきます。
と言うのも、レーシング向けの場合は、フルスロットルを多用する前提で開発されていますので、一般車両に混ざって運転する際には心強い味方となってくれます。性能の低い物で高負荷をかけたら壊れるのは、試さずとも想像できますよね。じゃあ、どこまでやれば壊れるか?って言うのは、あまり考えたくありません。
筆者は、トラックや一般車両と一緒になって国道を走っている事が多いのですが、これまでにエンジントラブルに見舞われた事がないので、これを根拠として、高回転・高負荷環境でも「POWER1 RACING 2T」が、エンジンを強力に保護していると考えており、そのためその耐久性能に信頼を寄せています。
ジャイロの場合は分離給油となりますので、オイルタンクにそのまま入れて使える事から、手軽に使用ができる唯一のレーシングオイルとして、私はPOWER1 RACING 2Tをオススメしていますし、実際に使用しています。
ニオイに関しては…ごめんなさい…筆者には良し悪しがわかりませんが、主観としては不快な臭いと感じた事はありません。
界隈で言われてるような甘い匂いを感じる事は、稀にあったりなかったりする程度ですが、まぁ、プラセボでしょう。それが自転車であれ、車であれ、常に向かい風だから、フルスロットル時の後ろの香りの事は知りません。
なお、社名の由来となった「ひまし油」は入っていません。
ひまし油は酸化が激しく、消費期限が著しく短いため、使い切る必要があるとの事ですから、まさにレーシング用途なのでしょうね。朝入れて夜なくす前提でなければ使えません。
カストロールのオイルについて
カストロール社は、1899年にイギリスで創業した潤滑油のブランドです。自動車やバイク、船舶などのエンジンオイルやフルードを提供しています。カストロール社は、高性能な化学合成油の開発や、モータースポーツのスポンサーとして活躍したりなど、世界的な知名度を誇っており、カストロール社の製品は、日本でも人気があります。
POWER1 RACING 2T
POWER1 RACING 2Tはレース用の高性能オイルです。高温・高回転に耐える強力な油膜を形成し、エンジンのパワーとレスポンスを最大限に引き出します。JASO FD規格に適合しています。
現在の価格⇒amazon
POWER1 2T
POWER1 2Tは、スポーツバイクやスクーターにおすすめのオイルです。高速走行時にも安定した油膜を保ち、エンジンのパフォーマンスを向上させます。JASO FD規格に適合しています。
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ACTIV 2T
ACTIV 2Tは、街乗りやツーリングにおすすめのオイルです。低温から高温まで幅広い温度帯で優れた潤滑性を発揮し、エンジンの摩耗や汚れを防ぎます。JASO FC規格に適合しています。
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GO! 2T
GO! 2Tは、小型2サイクルスクーター専用のスタンダードオイルです。始動時からエンジンをしっかりと保護しながら、その性能を長期間維持します。JASO FC規格に適合しています。
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なぜPOWER1 RACING 2Tが良いのか
2ストオイルが派手な色の理由
ガソリンとオイルを混合したときに、オイルの量を見やすくするためです。
オイルが少なすぎると、エンジンに悪影響を及ぼす可能性がありますし、逆に、オイルが多すぎると、燃費が悪くなったり、排気ガスが増えたりします。
ですから、オイルの色でも適切な混合比を確認できるようにする為に着色されています。
しかし、着色料・染料を燃やすのはどうなんだろう?と考えた時に、カストロールレーシング2Tが無着色であることのすばらしさを感じる事ができるでしょう。
ハードなカスタムを行っている人は注意
諸先輩からDMを頂きましたので追記します。
50ccをボアアップして、ハイパーリバイブ等の高性能チャンバーマフラーを使用した高回転設定の方は、より高性能なオイルが必要とのことです。
具体的には、ワコーケミカル(Wako’s)の[2CT]や[V2R]にしないと焼き付くとの事です。
Wako's 2CT
Wako's 2CTは、排気煙が少なく、優れた清浄性により、燃焼室内や排気バルブなどの汚れを防ぎます。 高性能2サイクルスポーツ車、発電機、ウォータービークル、スノーモービル等の分離使用に適します。
現在の価格⇒amazon
Wako's V2R
WAKO'S V2Rは、ベースオイルに潤滑性の高いエステルを100%使用した分離混合2サイクルエンジンオイルです。様々な2サイクルエンジンに使用でき、特にモータースポーツで使用されるミニバイクやウォータービークル、スノーモービル、カート(ストック)に適しています。
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2CTとV2Rの違い
ワコーズのV2Rと2CTは、どちらも分離混合のどちらでも使用できる2サイクルエンジンオイルです。
V2Rは耐摩耗性や耐焼き付き性能に優れ、油性に優れています。
2CTはフルシンセティック2サイクルエンジンオイルで、排気煙が少なく、清浄性に優れています。
V2Rの方がよりレーシングスポーツ向けのオイルとされ、例えば、ジャイロで高速道路を走っても問題ないようなハードな改造を行っている場合はV2Rの方が良さそうです。
一方、2CTの場合は通常の街乗りセッティングに向いています。
なお、これより高性能なオイルとなると、混合オイルとなります。
更なる高みを目指す人へ
スーパーゾイルは金属表面再生材
愛車のアンチエイジング・サプリメントと呼ばれるスーパーゾイルは、極めて滑らかで強靭な金属表面を再成型するトリートメント剤です。
- フリクションを大幅に低減させ、エンジンの性能を100%引き出し、バランスの良いエンジンに仕上げます。
- 軽い焼き付けを修復する効果があります。
- メカニズムの摩擦を防ぎ、エンジンの寿命を大幅に延ばしますので、経済的にも優れています。
- PTFE、モリブデン、塩素系、有機溶剤系の成分は一切含までておりませんで、エンジンに優しく作用します。
スーパーゾイルは使用しているオイルに混ぜる添加剤ですが、添加材とは言うものの、他の似たような効能をうたう添加剤とは違って、スーパーゾイルは塩素系添加剤のように金属表面をミクロン単位で溶かすものではなく、金属表面をより強く強靭に再生する働きがあります。そのため、フリクションロスの軽減に直結し、振動などの無駄なエネルギーの流出を減らし…つまり、エンジンが良く回るようになります。
しかし、エンジンが良く回る・パワーが出る、と言うことは必ずしも良い事だけではなく、故障に繋がる可能性も秘めている為、あまりにも調子が変わってしまうようだったらセッティングの変更や乗り方を変えるなども必要になります。
実際のところ、それほどまでにパワフルになるかと言えば、やはりセッティング次第ですし、多少良くなったかな?程度の実感しか得られない場合も多いです。
とは言え、これ以上の物はないのでオイルの性能を1ランク上げたいと思った時には必須です。
初回添加時のみオイル1:ゾイル1の1:1で割り、次回以降は5:1程度で薄めることが推奨されています。
満タンに入れるのではなく、メートルグラスに100mlずつゾイルとオイルを混ぜて走りながら様子を見るのが良いと思います。
なお、ゾイルを使用する場合はガソリン添加剤を使用しない方が良いです。
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記事の締め
2サイクル用オイルは、安くても良いと考えてしまいがちですが、高性能オイルを使用する事で、愛車の故障や環境汚染を予防することにも繋がります。
2サイクルエンジンオイルの性能とは、つまり、吸排気量に対しての爆発エネルギーに対応できるようなオイルであるかが大切になります。
したがって、高性能オイルであってもその効果を実感できない場合は、吸気と排気の設定を見直す事で、オイルのポテンシャルを発揮できますが、ボアアップをしていない状態でも、安いオイルは使用しない方が良いとの意見もありますので、まずは現在のオイルより一段階上のオイルを使用してみる事をオススメします。
煙やにおいに関しては、何かを燃やしたら煙やにおいが出るのは当然ですので、そのためにマフラー(チャンバー)というものがついています。
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